命を救う電気ショック!AEDの電流と電圧について解説

サマリタンPAD360P

人が意識を失い倒れた場合、どうすれば良いのか。AEDの社会的な認知が上がり、AEDを使う必要がある事を知っている人も増えてきました。しかし、いざ自分が実際にそうした状況に直面した場合、正しい対応方法やAEDの使い方を知らないために、救護活動やAEDを使用することへの不安を感じたり、AEDを使い電気ショックをする事に恐怖感を抱き、AEDの使用や、電気ショックボタンを押す事を躊躇してしまう人もいます。

AEDは誰でも簡単に使える医療機器であり、電気ショックが必要かどうかは救助者が判断するのではなく、AED自身が判断します。そのため、電気ショックが不要な人に対して誤って電気ショックをしてしまうといったミスは起こりません。

こちらのコラムでは、AEDや電気ショックについての詳しい内容とその使い方、一次救命処置の流れについて解説いたします。

AEDについての基本情報はAEDとは?正式名称・使い方・BLS(一次救命処置)の手順を解説でも詳しく紹介していますのであわせてご覧ください。

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株式会社ヤガミは、創業75年以上、AED販売年数19年以上と確かな実績を積み重ねてきました。AEDの累計販売台数は50,000台以上に昇り、国産で唯一のBLS(一次救命処置)訓練人形ブランド『JAMYシリーズ』のメーカーでもあります。証券取引所上場企業(証券コード:74880)。

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AED(自動体外式除細動器)の役割とは

AEDは、正式名称である「自動体外式除細動器」を英語で表記した『Automated External Defibrillator』の略称です。自動的に心電図の測定・解析を行い、心臓が心室細動などの重篤な不整脈に陥り、正常な動きをしていない場合には電気ショックを与えて、心臓のリズムを正常に戻す医療機器です。心室細動などによる突然心停止によって心臓が止まってしまった人の命を助けるためには、速やかに一次救命処置(BLS)を行うことが必要となり、その際はAEDが必要になります。

AEDに関する誤解

「AEDは心臓が止まった心臓を元に戻す万能な機械」と思っている人も多いです。正確にはそれは少し誤りがあり、AEDは心電図を解析して、心室細動のような、電気ショックが必要になる重篤不整脈の時にのみ有効になる物です。全ての心停止に対してAEDの電気ショックが有効ではありません。

AEDによる電気ショックの電圧や電流は?

AEDのエネルギー単位は「ジュール(J)」で表現され下記の計算式で求められます。

ジュール(J)=電流(A)×電圧(V)×時間(秒)

一般的なAEDの電気ショックエネルギーは、150Jから360Jです。電気ショックに使用される電圧は1,200〜2,000V程度、電流は30〜50A程度と、非常に強い電気が流れますが、実際に電気ショックをする際は、傷病者に触れていると感電する恐れがあります。電気ショックを実行する際は、傷病者に誰も触れていない事を十分確認をしたうえで、電気ショックのボタンを押して下さい。

AEDの使用と心肺蘇生

救命処置においては、AEDの使用だけでなく心臓マッサージ(胸骨圧迫)を行うことも重要です。心室細動や心室頻拍以外の心停止状態の場合、AEDによる電気ショックは効果がありませんが、心臓マッサージは全ての心停止者に必要で、生還するためには非常に重要です。

AEDの設置と利用の普及

全国各地でAEDの設置が進められており、一部自治体では無料でAEDを設置する取り組みも行われています。AEDの利用を一人でも多くの人に知ってもらうことで、急な心停止に対する対応力が高まり、より多くの命を救うことが可能となります。

突然の心停止は誰にでも起こり得る現象です。一人でも多くの人がAEDの使い方を理解し、適切な救命処置ができる社会を目指しましょう。

一次救命処置の手順: AEDの到着まで

一次救命処置を行う際、AEDの使用について疑問や不安を抱く方も多いでしょう。AEDは、使用すれば必ず電気ショックが行えるといった誤解もあります。実際にはAEDは心電図を解析し、電気ショックが必要な場合のみそれを行います。

以下、AEDが到着するまでの一次救命処置の手順について解説します。

①周囲の安全性確認

人が倒れているのを発見した場合、近づく前に周囲の安全を確認します。もし傷病者が危険な場所にいる場合、それぞれに応じて安全を確保します。

傷病者を助ける前に、救助者の安全を確保する事を優先してください。

②意識の確認

傷病者の反応を確認します。耳元で「大丈夫ですか」と3回ほど声をかけ、反応がなければ「誰か来てください!」と応援を呼んでください。

③119番への通報とAEDの要請

傷病者に反応がない場合は、「意識がない」と判断して周囲の人に助けを求め、119番へ通報し、AEDを持ってきてもらうよう指示します。

④呼吸の確認

 呼吸の有無を目視で確認します。10秒以上かけて確認しないように注意してください。呼吸が確認できる場合は様子をみながら救急隊が到着するまで待機します。

⑤心臓マッサージ(胸骨圧迫)

意識がなく、呼吸も確認できない、もしくは普段どおりの呼吸でない、判断に迷うといった場合は、すぐに胸骨圧迫を開始します。胸の真ん中に手を当て、両手を交えて力強く押し込みます。1分あたり100~120回のテンポで「強く」「速く」「絶え間なく」行います。救助者が複数いる場合は、1~2分ごとに交代しながらAEDが到着するまで行います。

一次救命処置の手順: AEDの到着後

要請していたAEDが到着したら速やかにAEDを使用してください。AEDの使用方法は以下の通りです。

①AEDの電源を入れる

AEDが到着したらすぐに電源を入れます。電源が入ったら、音声ガイダンスに従って操作します。

②パッドの装着と心電図解析

傷病者の上半身を露出させ、パッドを胸部に装着します。パッドが装着されると、AEDが自動的に心電図を解析します。

③必要に応じた電気ショック

 心電図解析の結果、電気ショックが必要と判断された場合は、指示に従ってショックボタンを押し、電気ショックを与えます。

④再び心臓マッサージ(胸骨圧迫)

電気ショックの後はすぐに胸骨圧迫を再開します。2分おきのサイクルで心肺蘇生、AEDによる心電図解析、必要に応じた電気ショックの手順を繰り返し、救急隊の到着を待ちます。

電気ショックが不要な場合でも、それは救命処置が不要という意味ではありません。AEDが電気ショックを必要としない状態でも、意識がない場合は胸骨圧迫が必要です。

また、特殊な状況下でのAEDの使用についても注意が必要です。例えば、傷病者の体が水で濡れている場合、電極パッドを貼り付ける前にタオルなどで胸を拭いて下さい。背中や床は濡れたままでも問題ありません。

ペースメーカーや除細動器を装着している傷病者に対してAEDを使用する際は、胸にこぶのような出っ張りがあります。パッドを貼り付ける場所に出っ張りがある場合は、それを避けて電極パッドを貼り付けます。

一次救命処置の手順: 救急隊の到着まで

一般市民の行う一次救命処置は、救急隊に引き継ぐまで行います。

①心肺蘇生の継続

救急隊が到着するまで、心肺蘇生とAEDの使用を続けます。救急隊が到着したら、その場の状況を伝え、その後の対応を救急隊に任せます。

一次救命処置は、医療機関への搬送と適切な治療が行えるまでの時間を稼ぐための重要な手段です。大切なのは迅速な行動と、質の高い心臓マッサージとAEDによる電気ショック(除細動)です。

一次救命処置を行う際には、救助者自身が安全であること、そして傷病者に対して可能な限り最善の対応を提供することを心掛けてください。心肺蘇生法やAEDの操作方法など、一次救命処置の技術については訓練を受けて習得することが望ましいです。それは周りの人の命だけでなく、より多くの人の命を救うためにも重要なスキルと言えます。

勇気ある行動とAEDによって救われる命

日本では毎年7万人以上が突然の心停止で亡くなっています。総務省消防庁「令和3年版 救急救助の現況」によると、2020年に一般市民が目撃した突然心停止の発生件数は25,790件もあり、その中で4割以上の人は、倒れたことを目撃されていながら、救急車が到着するまでの間、救命処置を受ける事ができなかったというデータになっています。

また、目撃者が心肺蘇生を行いAEDを使用して除細動(電気ショック)を行った場合、そのうち半数以上の方がその場での一命を取り留めています。

突然の心停止から命を救うためには、迅速な一次救命処置が不可欠です。心室細動や心室頻拍による心停止は、心臓がけいれんし、全身へ血液を送り出せなくなる状態であり、救命処置を行わなければ、1分ごとに約10%生存率が低下します。救急隊が到着するまでの平均時間(通報から8.9分)では、救命の可能性がほぼ失われてしまいます。

したがって、目の前で突然心停止になった人を救うには、近くにいる一般市民(バイスタンダー)が救急隊が到着するまでの間に、できるだけ早くAEDを使用して救命処置を行うことが、命を救う重要な鍵となります。