死戦期呼吸とは?気づいた際、即座に行動すべき対処法とは

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目の前で突然人が倒れた場合、どう対応して良いのか不安になる人は多いかと思います。突然の心停止によって意識を失い倒れた場合、「死戦期呼吸」と呼ばれる非常に危険な状態が見られる場合も少なくありません。

こちらのコラムでは、死戦期呼吸を確認できた際に取るべき対処法などについて詳しく解説いたします。

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死戦期呼吸とは

死戦期呼吸という言葉については、初めて聞いたり馴染みの無い方がほとんどです。まずはこの死戦期呼吸とはどんなものであるののかという事をご説明いたします。

死戦期呼吸について

死戦期呼吸とは、心停止や致死的な状態にいる人が、短期間だけ自発的に呼吸を再開する現象です。死戦期の呼吸は一般的に浅く不規則であり、呼吸回数も非常に少なくなります。死戦期呼吸の状態は、あえぐように苦しそうな呼吸をしているように見えますが、すでに意識はなく、実際に呼吸はできていない状態です。

国立病院機構のデータによると、死戦期呼吸は心停止直後に一時的に発生し続け、通常は数十秒から数分続きます。また一旦死線期呼吸に陥ると、呼吸が再開されず、再び無呼吸状態に戻ることが多いです。

傷病者を発見し、呼吸の確認をした際に死戦期呼吸が確認できた場合、もしくは判断に迷ったり、呼吸はあるが普段どおりではない場合には、呼吸なしと判断してすぐに心肺蘇生を開始する必要があります。

死戦期呼吸は、呼吸があると誤って判断される場合も少なくないありません。呼吸の確認の際、判断に迷った場合にはすぐに心肺蘇生をはじめる事を心がけて下さい。

死戦期呼吸の種類

死戦期呼吸は主に以下の3つの種類があります。

  • 下顎呼吸(かがくこきゅう)
  • 鼻翼呼吸(びよくこきゅう)
  • あえぎ呼吸

下顎呼吸は終末期や意識障害における呼吸困難の症状として認められる呼吸です。下顎を上下させ、口をパクパクさせてあえぐような呼吸で、 死期が近づいている徴候の一つとされています。

鼻翼呼吸は呼吸困難に際してみられ、呼吸時に鼻翼が張って鼻孔が大きくなり喉頭を下に動かして気道を少しでも広げようとする様子がみられます。

あえぎ呼吸は瀕死状態で認められれ、毎分数回以下の少ない呼吸になり、長い呼吸停止をともないます。吸気時に頭部を後ろに反り返らす動きがみられ、無呼吸状態がだんだん長くなり放置すれば確実に死に至ります。

死戦期呼吸の救急医療への影響

死戦期呼吸は救急医療において重要な情報となります。この現象が観察されることは、心停止状態に関連していることを示唆しています。

死戦期呼吸について正しく理解する事は、心肺蘇生の成功率やその後の社会復帰率に大きな影響があります。正確な診断と適切な対応を行うために、死戦期呼吸に対して正しい知識を身につけましょう。

死戦期呼吸におけるAEDの役割

まず人が倒れた場合、意識の確認を行い意識がなければすぐに救急車とAEDを手配します。その後に呼吸の確認を行い、死戦期呼吸が見れれた場合にはすぐに心肺蘇生(胸骨圧迫)をはじめます。

そのため、死戦期呼吸が見られた場合はAEDも使用する事になります。

また、特に知識が無い方は死戦期呼吸の見極めは難しいです。呼吸が普段通りでない場合には、躊躇せずにAEDを使用する事も一つの方法です。

AEDの使用と死戦期呼吸の状況下でのポイント

AED(自動体外式除細動器)は、心室細動や無脈性心室頻拍などの異常な心電図である事を機械が判断し、必要に応じて電気ショックを与えることで心臓を正常なリズムへと回復させる医療機器です。

死戦期呼吸の状況下でAEDを使用する場合ポイントは以下の通りです。

すぐに心肺蘇生(胸骨圧迫)

呼吸に確認をし、死戦期呼吸を確認した場合、心肺蘇生を速やかに開始し、胸骨圧迫によって血液循環を維持します。

AEDの使用

先に依頼をしているAEDが到着したら、すぐに電源を入れて音声ガイダンスの指示に 従い、電極パッドを素肌に貼り付けます。AEDは自動で心電図の解説を行い、電気ショックの必要性を判断します。ショックが必要な場合には、その後に続く音声ダンスに従い電気ショックを実行してください。電気ショックが不要だとAEDが判断した場合でも、呼吸や意識が戻るまでは心肺蘇生を継続してください。

死戦期呼吸の事例とASUKAモデルについて

過去に死戦期呼吸の状態をみて「呼吸はしている」と誤って判断され、AEDも使用されずに亡くなってしまった事故が起きています。その具体的な事例を1つご紹介いたします。

桐田明日香さん:ASUKAモデル

2011年9月29日にさいたま市内の小学校6年生の桐田明日香さんが駅伝の練習中に倒れ、救急搬送された翌日に亡くなる事故が起きました。 事故後の検証の結果、明日香さんは死戦期呼吸の状態が見られたものの、当時は「呼吸をしている」という判断の下、すぐそばにあったAEDが使用されていなかった事がわかりました。

この大変悲しい事故をうけて、教員研修等のための体育活動時等における事故対応テキストである「ASUKAモデル」が作られました。 このテキストで強調されているポイントは、意識や呼吸の確認など、心停止であるのか「判断ができなかったり、迷ったら、胸骨圧迫とAEDの使用に進む」ということです。 AEDは電気ショックを行うものだけではなく、電気ショックが必要であるかどうかを判断してくれるものでもあります。

また、胸骨圧迫についても、仮に胸骨圧迫が不要である傷病者に対して行った場合の影響は限定的で、むしろ胸骨圧迫が必要であるのに何もしない事の方がその後に及ぼす影響は非常に大きいです。

心停止となり呼吸や意識がない場合、そのまま何もしなければ、1分経過するごとに、救命率は約10%下がります。 約11分後の救急隊到着時に、明日香さんは心肺停止状態になっていたという事で、救急隊到着までの11分間が大変悔やまれます。

この事故から得られた教訓を多くの人に学んでもらい、同じような事故を二度と起こさないためにも、是非多くの方に死戦期呼吸についての正しい知識と必要な対処法を身に付けてください。